- - - - - - - - - - ドラえもん・のび太の楚漢大戦争 - - - - - - - - - -

戦国七雄と呼ばれた「韓」「魏」「趙」「燕」「楚」「斉」を滅ぼし、
中国大陸に初めて統一をもたらせた「秦」の始皇帝は、
その権威を中国全土に示す為、全国巡遊の旅に出た。
     ________
     ヽ, -─┴ ─ 、__/
      / ノヽ___   |  |  
     「 ̄ー| ー   |─|  |  「 者どもよ、よく見るが良い。
    /ー 0 ー─ ´  ⌒ヽ    朕こそが、この地上唯一の支配者たる
   |   (\  ヽ    _丿   秦の始皇帝であるぞ!!」
   l  (_     |    ノ、     
   \ _____ // \     
    /|/▽\/_ //^\    
  /7 | / |/  >  l    ヽ     
  l ヽ | /  /   \    l     
  |   O  ´      |   ノ
  |              | /
       始皇帝

しかしこの巡遊は、見た者に様々な感情を抱かせる結果となる。





大いなる野心を抱く者あり・・・
          / ̄ ̄ ̄ ̄\
        l ∨∨∨∨∨ l  
        |   \()/   |   
        (| ((・) (<) |)  「絶対、アイツに
        |    ⊂⊃   |   取って代わってやるぞッ!!」
       | .| ⌒ \.l/ ⌒ | |   
     / |. l + + + + ノ |\   
    /   \_____/  \ 
  /   _              \ 
 // ̄ ̄(_)               |
 |ししl_l  (            |    |
 |(_⊂、__)            |    |
 \____/              |    |
項羽【楚の国で最後まで抵抗し戦った項燕の孫】


羨望の眼差しで見つめる者あり・・・
    , ─── 、
   /_______ ヽ=S
 (( |/ ─ 、 ─ 、\ |  ヽ
   |    |    l   |   | 「あ〜〜
    |   / |ヽ   !─r-、ノ  男だったら1度、
 (^ヽー ヘ ` ー ´ノ|  6 !  ああなってみたいよなあ〜」
  `ー 、⌒`ー─ ´ |  _ノ ノノ
     \⊂二   ノ /\
    、────´/ /\
      ̄ ̄ ̄/「/\/ /^ヽ
          i |    |  |
劉邦【仕事は怠け、酒と女にうつつを抜かす中年オヤジ】






復讐に燃える者あり・・・
 ,       -─- 、 ′
    /: : u:へ;;/ヽ\   
   /: : /: :| 。|。 |ヽヽ 
 ´ |: : i : u : :- ●- : : :| 「始皇帝めッ!!
.   |.: :|:/\ 三 | 三 /:!  我が故国の恨みだ
 ′ ヽ:| : : : \_|__/:ノ  絶対に殺してやる!!」
    /━━━(t)━━i 
   i  ___◯■◯ノ ←暗殺用の鉄塊
   |  \ヽ二二ノ丿
    ヽ___/ ̄ヽ__i、
   └---┘ └--┘
張良【韓の宰相一家に生まれ、復讐を誓う知謀の士】





その後、始皇帝が崩御すると、秦の統治は揺らぎ始める。
長男・扶蘇は陰謀によって自害させられ、
暗愚な末弟・胡亥が始皇帝の跡を継いだのである。

「こんな秦の統治じゃ、いつか殺されてしまう
 ならばいっそ、俺たちで秦を倒そう」  ___
     ____            /     \
   /_____ヽ         ⊂二二>─ ┬i
    |__|    ヽ  / |          | | /| |ヽ | |_| 「民衆の支持を得る為に
   (d     (・  (・ l、          |   。    6)  僕は項燕のフリをするから
   !      )⌒  i  ∩__      ヽ   ノ  ノ   君は扶蘇のフリをしてよ」
  /\   ノ(フ  ノ ( つ )     ` ┬ イ
 / ヽ  ` ─── ´ ヽ_| ̄ ̄|     /^▽▽ ^ヽ
 |   |   陳勝    |    ノ    | | 呉広 |  |


こうして陳勝と呉広が蜂起するとこれに呼応し、各地で反秦の蜂起が続発する。
                _|_|    ___
               .( ||_).  / vvvvvv ヽ
              h j( ) |_|  (・)''< |         張良
\\      _____  ! __ノ | (  U ⊂⊃ ヽ       ____          范増
 ||ヽ|     /_____ヽ|──| | ___l___. |..  o /  −、−、  \  __  |\∧∧∧/|
 (⊃0   | | ノ−、 −、| |   ヽ(\ ___ .ノ)\ .| |/ , - | ミ|・ |-、  ヽ/,─、ヽ| _____|
 | )\  |_|-| >|+ |.. |  / ` ──── ′ `.|_|./  ` -●-´  ヽ | |.. ..| | |U−、 −、 ||
 ヽ___/ \( u`− o ─ i). | /             (___)/^\三|三/^ヽ ヽ二´ノ(| | +|+ | |)
    \  ヽ( ̄ ̄ ̄ ノ  !/\/\/\/\/ヽ|  | |.    ̄ ̄   | /.\_<___^_u_>
     \ |  ▽▽ |\   |              |  | ヽ__(二二二)__/ /    \ 〜〜〜〜
       |  劉 邦 |  \ |     項 羽      |  ━━━(t)━━ \      ヽ ^▽▽^|^





だが、陳勝と呉広の反乱は、結果的に失敗で終わる。
しかし彼らによって宿された反乱の炎は、燎原の火の如く燃え広がり、
彼らの死によっても消える事無く、中国全土で燃え続けたのである。

        /´ ̄ ̄`\  「戦さが下手そうだからって理由で、
       /-<二二>ヽ  配下の武将に殺されちゃったよー」
       |_|/ > <ヽ|_|
         (|   o   |)          , ──‐ 、
        |     U l         /_____ヽ
        ヽ  =  ノ          l_| /     ヽ |_l
         >── く          (/   」   <  ヽ) 「こっちなんて、
       / \/ヽ/ \          |     O     l   形勢悪化で御者に殺されたよ」
  (ヽ_ /\l      l/\_ /)    ヽ   )=(   ノ
  <⊂    / |     |\    ⊃> / ` ー──  ´  \
    ̄ ̄   |_______|    ̄(ヽ ̄./ヽ/         、/\_ /)
          /       |   く⊂ ̄   l─────── l、     つ>
        /⌒ヽ__ノ   `ー─−´|─────── | ` ー─−´
         |   | l   |          |_____   _|
        |ー─| |   |          |      / ⌒ ヽノ
        |___l ヽ__ノ            |───┬|____|
        (__)            |     | |______l
                        ヽ、_ ノ (____)
             ※ 鴻鵠のポーズ ※





こうして反乱の続く中、2人の男が台頭してくる。
それこそ、後に天下を二分して戦う「項羽」と「劉邦」であった。
この2人は、反秦勢力の盟主として担ぎ出された楚の懐王の元、
二手に分かれて秦の本拠地・関中を目指して進軍した。

「先に秦の本拠地を落とした方が、
 秦の地の王になれるんだってさ」
      ___
     / wwwwwヽ   
    l  |     ノ \ l         「うん、わかった」
    /⌒     ( ・ ・ ヽ         , ──  、
    ヽ_   、    (二) ヽ        /____    ヽL
    l    l \__l_> |        l ⌒ヽ\|      ヽ
    /ヽ   ヽ、   /  ノ       |'  |─l- 、     l  
  / \ヽ、   ̄    /        c 、__ ノ     l    l  
./       ̄  ̄ ̄ ̄ l`ヽ ,−、  ノ        く    /
              l_|(_)、 ヽ `ー、─-    ヽ/
   /           |  /ヽ  ノ   ` ー,───(
___/              l     /      /l/ \ / \
  //ヽへへへへヘ/ヽ|、_ /      /、|    、/ヽ
       項羽                 劉邦





秦の主力部隊と正面から戦い、それを次々に破って進む項羽。
                       , ─ 、
                        (_(_(_, ヽ
                   , ─── 、  (⊃_ ノヽ
  ┃ ┃┃          /WWW \ \   l     l  
  ┣━     | |    l \ll/    ヽ/^ヽノ    |   
  ┃       | |    (| (。) ∠      ノ      !
      ┃┃ | |   / (二) / ⌒ヽ  | |    /
   ━╋┓    /|  l _    /\ \|  l l    く
\\ ┃┃ |\/ |/| (__/ \ ヽ ノ //    \
  \\   _|   _└  ヽー`ー`─ ´ /´
 ☆    \   (ヽ  \  |  ̄ ̄ ̄   / ⌒ヽ
  /⌒ヽ ∠   \\/ヽ l      ̄ ̄|   二|
/   /\  |/ヽ/\ ヽ_ノ ヽ、_    ヽ_,_ノ
l_/\/\  /\/  ̄    \  ̄ ̄ ̄


一方、劉邦は韓再興の為に戦う張良の助けを借り、迅速に進軍していった。
                           _____
       ____           /___     ヽ=@   
    /     − 、 −、\         |−、ヽ|     ヽ    
    /   ,  -|   ・|・  |- ヽ        |・ |─|      |    
  / /    `− ●- ′  |      c −′ ||)    / ∩_  
  | |    二二  | 二二. |      └─フ   \∧/、┘ ) 
  | | |\ -─  | ─___)       `─-,──| _/ ̄/   
 _ ! | !   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / /_         /^ ̄ ̄ ヽ  /    
( __)\ヽ \(二二二)//(__)      /  /    | ̄
 \   ━━━━6━━  /     ⊂ \/|      |
   |   /___ヽ |/       (/,/   !-───-|
   |   | ヽ__ノ ノ |←張良        /_____丿
   |   ` ─── ′ |             /  / |  |
「敵と正面から戦うよりも、降伏させて味方にする方が有益だよ」





こうして項羽が戦い続ける間に、劉邦はまんまと関中を攻略。
     ,  ───  、
  ゝ/ ________\  
  /  | / ─ 、 ─ 、l      「やった、僕が一番乗りだ!!
 /   | /    l    l       秦が中国全土から集めた
 |   |─|    (・|<   |  (⌒ヽ  美女も財宝も全て僕のモノだ」
 Y⌒`  ヽ_ ノっ_ ノ 三   )
  ヽ_    、____つ l  (、_ ノ   
    \  \−、-、_/ノ  _   _   
     /` ー | l |‐ ´  l l//)、 
   /´ \/ `ー´ \   l )  ヽ´ノ
    |  ヽ     |/\/  __ /
   ├─┤    | 、     /


だが、浮かれる劉邦を張良がたしなめる。
     ____    
    /     -w- 、\    
   /   , -|  ・|・ |-ヽ 「こんなモノにうつつを抜かしたからこそ、
  i   /   ` -●-′ | 秦は滅び、あなたはこうして関中に居るんです。
  |  |  .三  | 三. ! なのにあなたは、同じ過ちを繰り返すんですか!?」
  ヽ ヽ  (  ̄ ̄ ̄) ノ    
 ○、_>━━o━━━ ヽ 
  ヽ_| / ___ ヽ ○__) 
    | i ヽ   ノ ノ   | 
この張良の忠告を劉邦は真摯に聞き入れて、
兵士達にも略奪行為を禁止させ、関中の治安を維持したのである。





しかし、劉邦関中入りの報を聞いた項羽は激怒する。
自分が秦の主力部隊と戦っている隙に乗じて、劉邦が関中をかすめ取り、
我が物顔で振る舞っているように思えたからである。
           ( ⌒⌒ )
             | | |
             ___
           // ∨∨∨ヽ     「劉邦のくせに、生意気な!!
           |_|   (・ < |      秦の軍隊は俺が破ったんだぞ!!
       _  (d   ⊂⊃ ヽ   _ 美女も財宝も全部俺様のモノだ!!」
.      /  ) | /\___l__ノ |  (  )
      |  |__/\ヽ⊂⊃ ノ /\/  /
 ______|    ̄ ̄ ̄  |   /
 | _______<.          |─ /
 |__|/| 0|∠|  |ヽ/ヽ/\/\/ヽ|.
 (  ゙−o−>|           |
  ヽ | ̄ ̄ ̄ |_______|
 |⌒lヽ==  /           ヽ
 | ̄|  |~|  |    / ̄ ̄ヽ   |


更に、先代より仕える老軍師・范増もこう続けた。
    _____ /∠
   |          <
   | ┌-/⌒ヽ/⌒ヽ──   「あのスケベな劉邦が美女に手を出さず、
   |__|  |  (・|∠ ノ      兵士達に略奪行為も許さないだなんて…
   ( /\` − o−´ >     きっとアイツは、関中以上のモノ、
    | |   ̄ ̄| ̄ ̄      すなわち、天下を狙っているに違いない!!
    | |二二>_|_    /)   今すぐに劉邦を殺してしまいましょう」
    `┬_── ´___/ 二⊃
   <⌒\/\|  ̄   | (__ノ
   |   |    | ̄ ̄ ̄  ̄  ←范増





如何に関中一番乗りを果たしたとは言え、項羽軍は秦を破った精鋭であり、
武力に訴えられたら、劉邦にとても勝ち目は無かった…
そこで劉邦は鴻門の地に居た項羽を訪ね、許しを乞うたのである。
                   ,-―――-、
                    V_V V_V
「誤解だよ、項羽将軍〜     | 。  (。))
 僕は将軍の為に        / ⊂⊃
 露払いをしただけだよ」   { (_l__
            _,_,_  \ )__ )
          γ  ___ ヽ/⌒
           ミ  / ,,,  _,Τ| |     |
           |  _| ミ ゚,l|.´+ | |  |     |
       ι  (6 #. ~^っ 、 }|  _ |
         ι >_ /二二7ノ / / |
           /   ̄ ̄ ̄ ̄;   つ
           |  ――――' ― ⊇


「それに僕の安全が保障されないと、
 張良が安心して、再興された韓に帰れないんだ!!」
                   /
       , -――――-  /
      /  _____ミ/
      ミ / /ナ=x  _/ |/
      | | キキ ゚キ| 十 |
     (6 #  xX/メ っ 、 ヽ       _
      \# / ̄ ̄ ̄/ ノ      /∠-
   ι  /   二二二 ∠ -―  ̄ミ    ニ

結局、劉邦は張良などの助けもあり、許される事となる。
これが世に言う「鴻門の会」である。





               , ─── 、   「劉邦があそこまで言うんだから、
                   /ww    ヽ   まあ今回は許してやろうと思うんだ。
  ____ /∠     |.  |     l   どうせもう、天下は俺様のモノだし」
 |   ___ <  (⊃     ^ヽ   l     ∩
 |    | / / ヽl ̄   |      _ノ   |   (ヽ|  ̄ヽ
. |  /^  | ヽ|    ヽ        ̄ ̄l   ヽ、___ ノ
  | ヽ_  `ー >    >ー‐─── ´)__  |    |
  l/    <    /´  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `   ̄     l
  l二二ヽ ̄    /  l          |      ノ
 /l    lヽ    l  |             | ̄ ̄ ̄
「そんな甘い考え方をしていると、
そのうち必ず、劉邦に天下を奪われますぞッ!!」

             /
  \  |∨∨ ノ      , ──‐ 、
     /  /、 ) )  /wwwv ヽ ヽ
 ─ / /l⌒ヽ∧   | ・ ・   |__ |   「うるせー
  / /l ゚\゚o' ノ  /(二)      _)   このジジイが」
  \ \\_ノ /(  |         ノ、
    `(  ♯(_/─ヽ        /ノヽ ))
     `^(`ー^ l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    ヽ
  / (( /ヽ_ ノ______       l
        | |  | l    |.            |
「ガキと一緒じゃ、満足に策謀も行えない…」


こうして項羽は、范増の進言を聞き入れなかった結果、
以前は「父」のように慕っていた范増との仲にさえ、
次第に亀裂を生じさせるようになるのである。





一方、どうにか項羽に許された劉邦であったが、
同じ「秦の地」でも、僻地である漢中・巴蜀へと飛ばされる。

             「あんな僻地に飛ばされるなんて…
              何のために今まで頑張ってきたんだか」
       _____       _____ 
    /        \  /       \ 
   /      − 、−、 ヽ/_______  ヽ  
  /     -| /・|・ヽ|- |ノ−、 , ─ \  |  |   
  |   /_ `− ●-′ /⌒)|    |_|___/
.  |   |  _ ̄   | 二 | ⊂ノ | └  |  6 |
  |  |     ̄  | ─ |_/-c`─) )  - ′
  ヽ  |   ̄ ̄  |_) |  |‘┬─(、( /
   ヽ |   /(⌒|\  |  |`-`─- ´ノ^\
    ┝━/  /|~| |━l ヽ__|ヽ./\/ l  |
.    |     / | | |  |/ |       |  |
「これで僕は再興された韓に帰るけど、
君は項羽に警戒されているんだから、
身の安全には十分に気を付けるんだよ」





しかし、帰国した張良に驚くべき報が届く。
                   \    _
  なんだってー            r-''ニl::::/,ニ二 ーー-- __
  せっかく再興させたのに . ,/: :// o l !/ /o l.}: : : : : : :`:ヽ 、
  韓の王が         /:,.-ーl { ゙-"ノノl l. ゙ ‐゙ノノ,,,_: : : : : : : : : :ヽ、
  項羽に殺された!? ゝ、,,ヽ /;;;;;;;;;;リ゙‐'ー=" _゛ =、: : : : : : : :ヽ、
                /  _________`゙ `'-- ヾ_____--⌒     `-: : : : : : : :
  ...-''"│    ∧  .ヽ.  ________   /   ____ ---‐‐‐ーー    \: : : : :
/    !   /   .ヽ  ゙,ゝ、      /  ________rー''" ̄''ー、    `、: : :
      .l./     V   `'''ー-、__/__r-‐''"゛     ̄ ̄   \   ゙l: : :
                     l     .,.. -、、 _ ‐''''''''-、    l   !: :
                    |   /    .| .!     `'、  |   l: :
                        l   |     .l,,ノ     |  !   !: :
                         / '゙‐'''''ヽ、 .,,,.. -''''''''^^'''-、/  l   !: :
               r―- ..__l___    `´            l   /   /: :

      _____
    /  / \|/ ヽ \
   /  /|  0|∠ |ヽ ヽ、
  . |   |\ `−○-´ /| |   「よくも、よくも、韓の王を!!
   |  /|  |\ 三|三/| | |    項羽めッ、絶対に許さない」
   |  | |_|__|\_|/|  |__| |  _
   | | |  | | ̄ | ̄| ̄| / /  (___ ノ
  __ ヽヽ\_/ ̄\___// / /
 (___)−===(T)==   / 丿丿
 ヽ__   /     ヽ | /
張良は劉邦の元へと走り、今までの客将待遇ではなく、
ここからは正式に、劉邦へと仕える事となる。





一方、天下の覇者となった項羽は、劉邦の例を見るまでもなく、
対秦戦争の戦功によってではなく、自分の好き嫌いで論功行賞を行い、
それは当然、諸将の反感を買う事となった。
                     /二二二ヽ 
 「ちゃんと論功行賞しろよ    |∧,,∧  | |  
     __    項羽!!」  | ・ ・   |_|   
  /   /  ̄ ̄ \      ⊂二    __)    
 ⊂二>_ヽ__(_ ̄_ ヽ i / ̄ ̄└─┐ ノ|\l>
  | ・) ・) | |) | |) | | ⊂二二>-┬// |∠lヽ
  (  ^  | 丶   _) | (・ )( ・ ) |_ ̄/▽▽^゙\
   ` -─  ヽ._⌒ ィ−' | ⊂⊃   _)| |    |\ヽ
   /     / || ̄||^ヽ ヽ、(「「「「).ノ | |    |//
   | |    | || ⊂ ̄) ̄/ ̄ ̄  ヽ| |   (_)′
    魏豹  陳余    田栄     彭越


「うるさーい、俺様は天下の覇者なんだぞ!!
 俺の土地は俺の土地、お前らの土地も俺の土地
 文句のあるヤツは俺様が実力で取り上げてやるッ!!」
       , ────-
      //V:V:V:V:V:V\,
   )   ||::::::::::\:/:::::::::||   (
    )  ||::::(×):'':(☆)::::||  ( (   
  )三三)::::::::::(二二)::::::::::(三三 (    
   ) _ /::/ヽ/::::::\/ヽ::ヽ_ (    
  / |:::::|//|\:/|\\|::::| \
 /   ヽ// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\:  ヽ
 |   //、\__(二 二)__//\\ |
⌒ //   `-─--─-- ′   \\⌒
項羽は諸将の反乱鎮圧の為に、東奔西走させられる事となる。





中国各地で発生する反乱の火の手。
それらを力でねじ伏せようとする項羽。
ここを好機と見た劉邦は、項羽討伐に立ち上がった!!
項羽の「楚」と劉邦の「漢」の激突、楚漢戦争の始まりである。

「項羽はもうヘトヘトだよ、簡単に勝てるさ」
          ___                _
      / ____ヽ           /  ̄   ̄ \
      |  | /, −、, -、l           /、          ヽ
      | _| -|  ・|< ||           |・ |―-、       |
  , ―-、 (6  _ー っ-´、}         q -´ 二 ヽ      |
  | -⊂) \ ヽ_  ̄ ̄ノノ          ノ_ ー  |     |
  | ̄ ̄|/ (_ ∧ ̄ / 、 \        \. ̄`  |      /
  ヽ  ` ,.|     ̄  |  |         O===== |  「うーん、大丈夫かなあ?」
    `− ´ |       | _|        /          |
        |       (t  )       /    /      |

劉邦軍は総勢56万にも膨れ上がり、遠征中だった項羽の本拠地を難なく落とす。
        ___
    ゝ/____\
     | | / − 、−、|
     |__|─|  ^|^  |      「ほらねー、僕の思った通りだ
     (   `− o− !        さー、みんなでドンチャン騒ごう!!
  __∩  ヽ、 \ ̄/ノ ∩__    項羽が集めた美女もいっぱい居るし」
 ∈ | ̄ ̄ ▽▽ ̄ ̄|  ∋
   ̄ ̄ ̄|      | ̄ ̄ ̄
__    |___ |
───  i     |
   -、___>─┬ く´ヽ
  /   |   /  |─|_
  | __/ ̄ ̄    (__ )





しかし、項羽が遠征先から恐ろしい速さで帰還すると、
油断していた劉邦軍56万は、わずか3万の項羽軍に叩きのめされてしまう。
                   _      ⌒            /7    
              __/  |  (      )    |  / /ニ _ ̄//7 / / /7
             |  、 )ヽ/    (  \    ☆ || //  /_//_/  ̄  ̄  ̄
             |  | ̄             | |/ / ___    
              | ̄ ̄l            /⌒)     ̄ -――  ̄ 
            / ̄ ヽ、  ̄`、 ̄ ̄ ̄| ̄) / /^ヽ      , -―――-、
           /_ _     ヽ_|―――┴--´  (ヽ´⊂)     ∨∨∨∨| | 
    ____∠」/ |    / ☆      /  /| |\ / \   | >_(・)  |_ | 
ξ⌒(     // ̄ ̄/ `l /      ☆  / /  | |  \  \ | ,`T` _ 6)   
 ̄∪  ̄ ̄ l´二,二    | \      〃  〃   | |     \.  ( |王王土/ノ
         || >| < |―9)  \  (    ) ./     ||      \ヽ二7| ̄7      
         l 二 二_/~ } \  \   _,       |    \     |    o ̄
        ` ―--― ´  \/^ \            (    )  |   o      
                   し、 、_ゝ            ゝ  ノ   |   o     





慌てふためいた劉邦は、自分自身が逃げる事に必死であった為、
父と妻は逃げそびれて項羽の捕虜となってしまい、
更には逃げる途中で、少しでも馬車を軽くしようと子供を放り捨てた。
           ┳               ┳
━╋┓┃┃ ━╋━    ━╋┓┃┃ ━╋━ 
  ┃┃    ━┛ ╋┓   ┃┃    ━┛ ╋┓
\     \       _ /    /
     ゝ ─── 、   巛      /  ̄ ̄ ̄ ヽ
    / _____ヽ  巛    (___(___、、  (⌒)^)
    | | ノ    \|   巛     | ,-、 ヽ  /   j゙ヽ
 。  !__|   > # < |    ̄.    j |・ |   | ヽ_ノ__ノ
    (  #   ^ # !        i__    (     )
 _∩ ヽ ( ̄ ̄/  ノ  ∩_  ゚    )    ` i− ´
∈   ̄( \─  ´ | ̄  !∋      ̄ ==ヽ←夏侯嬰
  ̄ ̄  \ /\  | ̄ ̄///     /  /  l
   \\ ヽ  ⊃|           / ̄/   |
<__    | ̄ !uuu ̄l  _      (___/───j__ \
(_ノ\/ ̄| ̄ ̄) ̄ ) | | __  (___(⌒\_) \←馬車
 \ ノ  ̄ ̄ ̄  ̄    ̄ /\__\       ̄     \
  ̄↑魯元公主(長女) ̄ \/__/←劉盈(嫡男) ̄ ̄


      ,-――-、 「大惨敗だったよ…」   ___
      { , -_−_−              /  _   _ ヽ
     .(6( /),(ヽ|              /  ,-(〃)bヾ)、l
     /人 ー- ソヽ _          | /三 U  |~ 三|_
  /  /  |  ̄_∧/   ヽ        |(__.)―-、_|_つ_) 「烏合の衆だった…」
      | |  \/_/-、    /        /  /`ー--―-´ /
      |-\ _|_ )_|   /         |  // ̄( t ) ̄/
      ヽ-| ̄|  |_|_ /       ,− |   | ヽ二二/⌒l
    /  l―┴、|__)       |  (__> -―(_ノ
 /    `-―┘ /         `- ´





しかしここで、劉邦に1つの転機が訪れる。
項羽に仕えていた奇謀の士・陳平が、劉邦へ投降してきたのである。
      __ゝ,..───..、
      / : : : : : : : : : : : :\
      /:: : : : : : :; ───┬`
      i  : : : /  / /^ヽ !  「項羽は家臣を疑ってばかりで、
    |:: :: :: ; -v'    | | ゚| |   とても仕えられるような人間ではありません。
     !:::: :::| d    `−  ┐  ですから逆に、こちらから離間の策を仕掛け、
     ヽ::: ::ヽ_    ┌── !  范増などの重臣を項羽から引き離しましょう」
      \;イ       ヽ./ノ
        _j___┬─ ´
        /───-ヽ    ∩
        / /⌒\  |   /  ̄,⊃
        |  ヽ   \| /\ _ノ


結果、陳平の策謀が見事にはまり、
項羽の重臣たちは次々と彼の元を離れていった。
   / ̄ ̄ ̄ ̄ ─── _____
  /                  /
  /   ___           >
 /   /   /  ̄─____   \
/⌒ヽ/   /     |//  l ̄ ̄ ̄  
|       l   _ /_   ノ  「天下も既に定まった故、
ヽ_       l   ─/─  /   ワシの力も、もう必要あるまい。
  |    =` ー  Oー く_   あとは自分で好きなようにやってくれ…」
  ヽ   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
 / ヽ、 ______ /
/ \/\/ヽ
|  |    l |
范増は失意と憤激のうちに故郷へ帰り、その途上で病死したと言う。





その一方で劉邦軍では、英才たちが輝いていた。
「国士無双」と呼ばれた韓信は、
別働隊を率いて、魏・趙・燕・斉と中国の3分の1を制圧し、
\\\      /⌒\    , ─ 、
         /___ヽ /   ヽ\\\
      /  ̄      ̄ ヽ.    i
\\  /  ̄ ̄ ̄ ̄ \     \   |   
    / へ    /ヽ   ヽ     ヽノ
   / /^ヽ    /^ヽ   ヽ     ヽ \\\  
   |. | 0 |   | 0 |     |     i 「暗渡陳倉・背水の陣…
\\|  `− 6   `−′    |.    | 普段は朴念仁に見えても、
   !               !    !  用兵に関しては右に出る者なし」
    ヽ   /  ̄ ̄ ̄ \   /   /
     \ \_ (⌒ヽ丿  /  /
       ━━━6━━━━━ヽ、    (同じ時代のユーラシア大陸で、
     /| / ___ \   /⌒ヽ    東に韓信、西にハンニバルが居た事は
    (⌒ | | ヽ 韓信 ノ  i  ` ┬′   歴史上の奇跡だと思います)


張良や韓信と並び、「漢の三傑」に数えられる蕭何は、
内政と兵站を完璧にこなして、後方より劉邦軍の物量を支え続けた。
                ,−、 __
               (────、ヽ
    ゝ ─── 、     //  \  | |
   / ______ヽ  | /  ヽ   l_ |
   | | / −、− 、|  / ⊂⊃ #    )   「あなたがどんなに負け続けても
   | _|─|  .|.  |  !⊂___    ノ\   私が後方より支援し続けますので、
   (   `ー o ー |  \ヽ__ノ  /  \ 安心して戦って下さい」
    \  ___⊃  / `───/     ヽ ))
   /^| ヽ_─┬、′  /     \/         i
  /  \/\/  \ /    /         !
 /  /|     |ヽ  \⌒\/⌒\ 蕭何    ノ





結果、遠征軍を代わりに指揮する者も、兵站を整える者も居ない項羽軍は、
項羽1人が東奔西走する事となり、次々に戦術的勝利を積み重ねていっても、
結局は自軍を消耗させるだけで、最終的には遂に戦略的勝利を得られなかった。
そうした状況下で、項羽と劉邦は広武山に於いて対峙する。

「もう面倒だから、
 俺達の一騎打ちで決めようぜ」
      ___           _ 「ヤダッ」
     / ∨∨∨∨ヽ        , ─── 、
.   | |  ノ  ヽ |       /___    ヽ
   |__| U  (・ ∠ |        l−、ヽ |     l
   l d    ⊂⊃ ヽ      |・  |─|_     |
   `-  |\__l_>|       c、_ノ  6)  /
   |ヽ  ヽ____/ ノ、     (___  \/
 / \\___/ \     ヽ、 __ /
      ̄        ヽ      /|/\/ ⌒\
                     / |
                「その代わり中国を2つに分けて、
                 西半分を僕、東半分を君って事にしよう」
「わかったよ、それで良いよ。
 人質に取った親父も女房も帰してやる」





この停戦中に戦力を整えようと考えた項羽。
しかしそう言った頭脳戦では、英才揃う劉邦軍の方が一枚上手だった。
和平がなり撤退する項羽軍に対して、劉邦軍は追い打ちを掛けたのである。
───  ____  ────
──  /    \,,/ \────
_  /  / −|  ・|・ | ヽ __ 「それ今だ!!
─ |  /    `−●-´ヽ| ──  項羽軍は完全に油断しているぞッ」
.  | | ___ 三  | 三 |
_ i | \| ̄| ̄| ̄|/ /  __
─ ヽ |   `─-─′ //○ ─
─ /━━━( t)━━i /___
 ○   /     ヽ ノ/────


それと同時に劉邦は、韓信へ援軍派遣の要請を行った。
     /⌒ヽ   / ⌒ ヽ
    /  , ─`ー'─− 、i
    l/   , ────\
    /   / ⌒   ⌒ ヽ
   /  /   、=@ 、=@ヽ  「ふむふむ…
    l  /    /⌒ヽ  ⌒ヽ  !  援軍に来いと言う事か。
    l  |     |  (|   |) |  |   って、こんだけ頑張ってるのに、
    ヽ  l     `ー/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7 恩賞の話は一切無いわけ?」
    ヽ ヽ     /         /
     〉━━/⌒ヽ      /^ヽ
    /  _ヽ__ノ      ヽ_ノ
  _  l     「 |______l
 r'o7┤    ヽ、__ノ/
  `  ヽ____┌__ |
     (____)__ )





しかし何時まで待っても、韓信の援軍は来なかったのである…

            「なになに…
             韓信の援軍が全然来ないから、
             不意打ちしたのに項羽を倒せなかったって」
   ____            /、       \
 ゝ/_______ヽ       /.ノ─ 、       ヽ
 / | / ─ 、─ 、|      ●- ´   \      ヽ
 | __|─|  / | ヽ  |     __| 二二    i       i
 (   U─ oー ´ヽ    (__  ──   |        !
  ヽ   , ──┘ノ      ( _       !      /
   \ ( _,ヘ_//  /)_   \    /     /
   / |/\//^\/ヽ ∋  _  6━━━━━━、
  / |      、   / ̄  ( )`|  \       ヽ



               「恩賞を約束しないと、きっと韓信は来ませんよ」
                      ____
   ゝ ───- 、         / - 、− 、    \
  / _____ヽ       / -| (・|・) |- 、    ヽ
 / |  ノ ─ 、− 、|      /  `-●− ′  \   ヽ
 ! __|─|  //|ヾ  |       i 二 __|  二     i   i
 (    U − o-U l       _| ─ (__   ─   |   !
  |  /⌒ヽ__U___)/)  (__)    (_       |   /
  ヽ、ヽ ___ /ノ(⊃ )  |  ヽ            /  /
 /^\/\ノ\/ ̄/   ヽ  ` ━━6━━━━┥
             「えっ…
              韓信には斉の王を約束するって!?」





斉の王を約束された韓信は、さっそく劉邦の元に馳せ参じる。
そして劉邦も、用兵の天才たる韓信に項羽討伐の指揮を任せたのである。

「戦争は君の方が得意だから、全部任せるよ」
      ___   
   /´        `\
ゝ/       ____ヽ 
./        | /  −、!         「はい、お任せ下さい!!」
l        |   /    l                       
|    /⌒ヽl─┤  ・|                 /⌒ヽ
l    |  )   ヽ_ ノっ              , ─´── ヽ、/⌒ ヽ 
ヽ    ヽ_    ____つ             /´ ̄ ̄ ̄ヽ`\ \   l 
  ヽ、/      \                / ゙ヘ   ゙,へ    ヽ  ヽ  |
    l____ _ > ,-、 /´)        l |ノ |   |ノ |     l   l l
   |_____\   l  |/ /   /⌒ヽ l  ーo   ー′   |   lノ
  /    /  `ヽ   |     )  ヽ__ノヽl  (___     /  /
.  l    |     |.  /\_/      \ ヽ  ヽ  ノ    /  /





こうして両軍は、垓下の地に集結する。
韓信が総指揮を務める劉邦軍は総勢100万、項羽軍は残った精鋭30万。
3万の兵で56万の劉邦軍を破った事のある項羽にとって、
3倍程度の兵力差など、全く意に介すものではなかった。
しかし今回の相手は、中国史きっての用兵家・韓信であった…

             「我らの攻勢により敵軍が退くぞ!!
                      それ、追い打ちを掛けろー」
                        ,┐   ─── ___
                       ∩ ̄ ̄l─── /wwwwヽ ヽ
      ───            ∪__l     / ミ_ ・)   | |
.  /⌒> ── 、 ───         |_l    / ⊂⊃      l/ヽ
 / /    /´-.ヽ   ───     (二⊂ヽ  ⊂____ /|  _ノ
 | l   /   | (l l_ ───        ヽ_)   \ \\ _._ノ   ノ
 ヽ.|    |       j              \   ノ\ヽ、` ー─´ /)、
   ヽ  ヽ   ヽ ̄               ヽ/  ./ `  ̄ ̄ ̄ ´ ヽ
     >━━━ ´○
   /     /
  @|      l_ノ.-、「引っ掛かったな、これは偽退だ。
  | ヽ___ / ノ 両翼は側方より敵軍を攻撃!!
.  `ー'      `ー´  我が軍も反転して項羽を包囲する!!」





かくして楚漢戦争の帰趨は決した。
項羽は本陣へと逃げ帰り、劉邦軍は大軍でそれを包囲したのである。
とは言え、籠もる項羽軍も先鋭であり、正面からぶつかれば大損害を被る。
そこで韓信は、兵士達に項羽の故郷・楚の歌を歌わせた。

          ♪楚〜歌〜            ♪楚〜歌〜
 ♪楚〜歌〜            ♪楚〜歌〜
       , -──- 、        _____
    /_____ \=@  //⌒ヽ ⌒ヽ  `\    
    |/⌒ヽ ⌒ヽヽ | ヽ  /  |  ^ |^  |- 、   ヽ   
    |  / | ヽ  |─|  l //  `ー ●ーー′  \   ヽ  
   / ー ヘ ー ′ ´^V /  ─  |  ─    ヽ   i
    l \    /  _丿 i   二   |  二     |   |
.   \ ` ー ´  /   .l \     |     /  l   !
      >ー── く     ヽ  \  |   /    /   /
    / |/\/ \     ヽ   ̄ ̄ ̄     /  /
    l  l        |  l     >━━6━━━━━く
    ヽ、|        | ノ    /  く    /     ヽ
       |ー───j      l   (⌒(⌒)  /    |

四方から聞こえる楚の歌を聞いた項羽は愕然とする。
故郷の楚すら劉邦の手に落ち、もう再帰を期す地は残されてないのだと。





   「力は山を抜き、気は世を蓋ふ   時に利あらずして、騅逝かず
    騅の逝かざるを奈何すべき     虞や虞や、若を奈何せん 」

mm   \   __‐⊂⊃‐__  /    \   ,, ─── 、   /
| 川 |      ⊂    l    ⊃          /        ヽ   /
|   |      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |     ─  /  / )ノ )ノ )ノ
L__」  ─  | |   ∩   | |  ─     i   / ノ- 、    -ヽ |    ̄
|    |     | | ⊂___⊃ | |    .     !___.|  |. /|   |ヾ | |
|   |     |L__―――――_」|        i ヽ  (ノ -   、 - ´ |
|    L____/\_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/\     . /`-,、   /`─-─ ノ ノ
|            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   \   ∠/⌒j. ヽ、ヽ__ //i⌒ヽ
|       |         ∩  |  \    |_ノ   ,┴─┴、  |_ノ
L____|       ∈三 \_|   |    |  .|/ .\/ \j \j  | ∫
       |        ∈三  |    |  ∫|   !  ノ      |   | ∫
       |            \|____/  ∫ヽ__ /|       |\_ /
      |    歌う項羽      |          | 虞美人 |

勝利し、勝利し、最後に敗れる。
項羽は自らの悲運を歌い、そうしてこの世を去った…





こうして項羽を倒し、遂に天下を掌中に収めた劉邦は、
紀元前206年に漢王朝の初代皇帝に即位する。
こうして、この漢王朝は前漢・後漢合わせて400年も続き、
「漢」は中国を象徴する言葉となるのである。

       \
 お そ .い ヽ
 か の や  |
 し  り  `  ,. -──- 、      「項羽は范増1人すら満足に扱えなかったけど、
 い .く   /   /⌒ i'⌒iヽ、     僕は優秀な人材を大いに活用し勝利した。
    つ /   ,.-'ゝ__,.・・_ノ-、ヽ    つまり僕は個人としても、項羽より優秀だったと思うんだ」
    は i ‐'''ナ''ー-- ● =''''''リ      _,....:-‐‐‐-.、
      l -‐i''''~ニ-‐,....!....、ー`ナ      `r'=、-、、:::::::ヽr_
 ̄ \ヽー' !. t´ r''"´、_,::、::::} ノ`     ,.i'・ ,!_`,!::::::::::::ヽ
    ヾ、 ゝゝ、,,ニ=====ニ/r'⌒;    rー`ー' ,! リ::::::::::::ノ
       i`''''y--- (,iテ‐,'i~´,ゝ'´     ̄ ̄ヽ` :::::::::::ノ
       .|  !、,............, i }'´    _   、ー_',,...`::::ィ'
     ●、_!,ヽ-r⌒i-、ノ-''‐、    ゝ`ーt---''ヽ'''''''|`ーt-'つ
        (  `ーイ  ゙i  丿   ;'-,' ,ノー''''{`'    !゙ヽノ ,ヽ,
        `ー--' --'` ̄       `ー't,´`ヽ;;;、,,,,,,___,) ヽ'-゙'"
                       (`ー':;;;;;;;;;;;;;;;ノ
                       ``''''''``'''''´





ところで、漢王朝成立後の張良はどうしたのであろうか?
彼は、王朝安定の為に勃発するであろう粛正の嵐を避ける為、
3万戸と言う莫大な恩賞も辞退し、病気と称して引き籠もってしまう。

   |      「僕はもう満足です、恩賞も要りません。
   |       余生は仙人の道を研究し、穏やかに暮らします」
   |
   |   , ──- 、
    /          \           
    /          ヽ            
   |                |           
.   !             !           
   \         /
    ○━━━━━l            
     ( _       |             
     _|_|        | _____   
  / (        ●ノ
/    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


  __________
.. | ________ .|                 
  | |            | |      , ─── 、     
  | | 続く粛正の嵐!. | |     / ) 、       \  
  | |  今度は韓信   | |     d-´  \       ヽ 
  | | 異姓王は根絶か?| |    亅三    ヽ     |  
  | |             | |   (___   |     /  
  |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .|     \     |    /     
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|     o━━━━┥    
 |.                 |       /        
 |__________|     ◯        |  
                    (       o ノ





一方、皇帝となった劉邦を諫められる者はなく、
皇族の血を絶やさぬ為と、女遊びも積極的に奨励される。

            (⌒⌒)
          , ──- 、   \「陛下〜
          /       \   ) 私たちの子を次期皇帝に」 
         /   ___ll_ll_l__l  (            , ⌒ヽ
 戚夫人→l   | / −、  −、|     , ──-  、  (    )
       l   |  | =|   |= | |l ゝ/______\  //ー′
      l ̄ヽ(| ヽ ー   ゝ´ l > /  |/ / ⌒ ヽ ⌒ヽl
      >  lヽ, く   ー ノ´ l   |─|  ヘ |@   | ))
      \ノ(ーヽ` ─┬__´   Y⌒ # ヽ_ ノヽ_ノ、
        /(   ̄ ̄  ノ   ヽ_ #(__##  ヘ #__つ    「わかってるよ〜
      / /l      ノ  ( (  \  `ヽ、_//      君の言う通りにするよ」
   _/ / ノ     /|        > ── イ
  ∈   /ー ´     ヽ |       / \/\/|\
    ̄U  \_       \     /\|     |/ \    /\
        /ヽヘ__,ヘ__,ヘ_ノ   __/  /|_____| \ `⊃、/   \
        /  / |  |    ∈  ノ ノ     | ̄ \(ノ−、     ヽ
      /\ /   |__|      ̄∪/ \_, -─┴ 、// /⌒l     ノ
     /  /   |  |         |  (       ヽ/ /_/    /
   /⌒  /      |  |        \ノ \     ヽ(__/、_/
  /  /         |  |__       ノ二/ )
  l _/      (___ノ      ( _ /





こうした劉邦の行為に激怒したのが、劉邦の正妻・呂后である。
劉邦が反秦に立ち上がった時、その資金を出したのは彼女の父であり、
戦争中には彼女自身が人質になるなど、苦労を重ねたと言うのに、
いざ皇帝となると、今度は呂后との子・劉盈を皇太子から外そうと言うのである。

「あなたは漢の三傑なんでしょ!?
  仙人修行なんてしてないで、何とかして頂戴よ!!」
    ヽ  |  /            
     ____                   ,  ───  、
   / ____ヽ               /          \  っ
  /  /  ノ ,, \|               / ヽ            ヽ っ
  |  |   (・ _ (・ |7            l’\|─‐ U 、         ヽ
  ヽ_フ  ミ ⊂⊃ミヽ             l  ノ     \         l
   |   ___i_  |          ●´ ──      ヽ         |
   |  (      ) ノ          ノ  ──      ヽ      l
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\.        (   ──        l    /
     皇后・呂后            ` ー、── 、     |     /
                           ` ー,-、━━━━━━ヽ
                              ヽフ `ヽ
                    「う〜ん、あまり関わりたくないんだけど…」





しかしそうも言ってられず、張良は呂后の為に一計を案じた。
劉邦が何度招聘しようとしても、それに応じなかった四賢老を、
張良は説得する事に成功し、皇太子の劉盈を補佐させたのである。
      ____
    /    - 、 - 、\
   /  , -|  ・|・ |- ヽ
  i /   ` - ●-′  i. _⊆⊇_ 「テケテケン♪
.  | |    三  | 三  | | ●●|  四賢老の詰め合わせ〜」
  ! | \.___|__ノ / | ●●|
  \ヽ   \___/ / ◯─-┘
    ━━━━o━━ /
   |   /    ヽ |


「僕は、次期皇帝には
  劉盈様しか居ないと思うんだ」
    ___                         ____
ゝ/  ____ヽ      __    「あたしも。」 /____\
./   |   /   |    /´    ⌒ヽ    ___   |/ . .ヽ | ヽ
l   _|    (・ l  / / )ノ)ノ)ノ   /______ ヽ _l (二     |_ ノ
|  (        _) | _| /| (|  |(| |  l | ⌒  ⌒ | ( ___     )  ∩/)
ヽ /     ノ)  (    ー  ゝ´ヽ | | ┃ ┃ |   l  ___)  ノ  / `三
  〉__┌ <)    /ヽ  ヽフ ノ ノ/ <   ノ  L. ー┬_−ヽへ / ̄
. /‐──┬`  _∩.'ヘノ 〉ー‐┐´  く ヽ \_/ \_ ノ / l/ヽ/ /
/ (  \l  〈   ノ /´ヽ ̄´ヽ    ` ` ー┬ イ  (ヽ/ヽ|     |
.   \/ `ー ´ / /  / /)__ |\    //_//三`  / |     |
  東園公      角里先生     綺里季      夏黄公





自分ですら招聘できなかった四賢老が、劉盈を補佐するのを見て、
劉邦は次期皇帝には劉盈しか居ないと心に決め、
紀元前195年にこの世を去る。
そして張良も、劉邦の死から9年後の紀元前186年に死去する。

                            / ̄ ̄ ̄ ヽ
               __           /ヽ)―- 、   l
          ,―γ ___ヽー、       q`´ハ ミ ヽ  }
      | ̄ ̄|  | |(/),(ヽ)|    | ̄ ̄|   <_))_,  |  /
     |   ヽ  (6  ー  )  ノ    |    ヽ ___/_ノ
     -――  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄――-    (t) ̄ ̄ ̄|
    |  ,―  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ― 、    |    (/_ )/ / |
    |  |                |    |  ( ) ○    |-o
    |  |                 |    |   `ー―― ´
   |  |                  |    |
  |  |                   |   |

劉邦の死後、蔑ろにされ続けた呂后が暴走。
劉一族は廃され、呂一族が専横を極める世となるが、
呂后の死後、張良から知恵を託されていた陳平たちが呂一族を一掃。
こうして再び劉氏の世は復活し、以後漢王朝は繁栄を謳歌するのである。

- - - - - - - - - - 終:ドラえもん・のび太の楚漢大戦争 - - - - - - - - - -



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